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労災給付の内容

労災給付の内容

  • 「労災給付内容の種類」労災保険の給付内容を教えてください。

  • 療養(補償)給付

    説明

    1. 療養の給付
      労災保険指定医療機関等で、自己負担なく治療や薬剤の支給が受けられます。これが現物給付という方法です。
    2. 療養の費用の支給
      近くに労災保険指定医療機関がないなどの理由で、労災指定医療機関でない医療機関で治療や薬剤の支給などを受けた場合、かかった費用を一時被災労働者が全額支払い、その額を労災請求し、当該請求に基づいて国が現金支給します。このような現金支給という方法で支給されるものとして、通院費や装具等の療養に関連したものがあります。

       ※ 療養(補償)給付における労災診療費の算定等については 厚生労働省HPをご覧ください。
           厚生労働省HP「労災診療費の改定について(令和2年4月)」

  • 「職場復帰後の療養給付」私は、現在、労災認定を受け、自宅で療養中ですが、職場復帰後も療養は続けられますか。また、療養中に定年退職した場合でも療養は続けられますか。

    職場復帰により休業(補償)給付が終了した場合、あるいは定年退職により雇用関係が消滅した場合であっても、症状固定(治癒)とされるまでの間は、療養の給付は継続して支給されます。

  • 「転医の場合」私は、現在、労災認定を受けて療養中ですが、この度県外に転居することになりました。県外の医療機関でも引き続き労災で受診できますか。その際、何か手続きが必要ですか。

    療養の給付を受けている方が転居した場合、他の医療機関へ転医することができます。労災指定医療機関から他の労災指定医療機関へ転医する場合は、「療養補償給付たる療養の給付を受ける指定病院等(変更)届」(様式第6号:通勤災害分様式)を、転医先の医療機関を経由して労働基準監督署長へ提出します。
    それ以外の場合は原則的な請求手続によります。すなわち転医先が労災指定医療機関であれば、「療養(補償)給付たる療養の給付請求書」を病院へ提出し、非労災指定医療機関の場合は、「療養(補償)給付たる療養の費用請求書」を労働基準監督署へ提出することになります。労災保険指定医療機関については、下記の厚生労働省ホームページで検索することができます。

    詳細はこちら

     厚生労働省HP「労災保険指定医療機関検索」

  • 休業(補償)給付

    説明

    1. 休業(補償)給付
      ①業務上または通勤による傷病により、②療養のために労働することができないために、③賃金を受けない日が4日以上になる、という3つの条件がそろった場合には、休業1日について給付基礎日額の60%相当額が支給されます。
    2. 休業特別支給金
      休業(補償)給付が支給されるときは、休業特別支給金として、休業1日について給付基礎日額の20%相当額が支給されます。したがって休業(補償)給付と併せて休業1日の支給額は給付基礎日額の80%となります。
  • 「再発の取扱い」以前、業務中のケガが原因で骨折し、労災に認定され、金属プレートを埋め込んで、一旦、「治癒」と言われました。来月に、労災指定医療機関で金属プレートを抜く手術をする予定ですが、この手術は労災扱いになるのでしょうか。

    労災保険では、一旦、治癒となった後でも、例えば骨折治療の際に使用する、装着金属を抜去する場合には、「再発」として取り扱われ、「療養(補償)給付たる療養の給付請求書」(様式第5号)を提出することにより、再発が認められ、療養の給付が行われることになります。
    また、休業補償給付の受給についても、入院のように治療するために働けない、給料が支給されていないという要件を満たしている場合には支給されることになります。

    詳細はこちら

     厚生労働省HP「労災保険における傷病が「治ったとき」とは・・・」

  • 「休業から3日間の取扱い」仕事でのケガで現在療養中です。現在、休業給付をもらっていますが、最初の3日間はなぜ支給されないのですか。また、3日分の補償は会社でしてもらえるのでしょうか。

    業務災害による災害補償は、労働基準法第76条で事業主に義務付けられていますが、労災保険法の第14条では休業4日目からの支給をについて規定しています。つまり、休業最初の3日間(待期期間)は、事業主が1日について平均賃金の60%の休業補償を行うこととなります。休業4日目からは労災保険法に基づいて給付される場合は、事業主責任が免除されることになります。
    ただし、通勤災害は労災保険法で定められた制度であり、労働基準法上での補償規定はありませんので、就業規則等での支給規定がなければ、待機期間中は無給となります。

    詳細はこちら

     厚生労働省HP「休業(補償)給付  傷病(補償)年金の請求手続」

     厚生労働省HP「休業補償の計算方法を教えてください。」

     厚生労働省HP「労災年金給付等に係る給付基礎日額のスライド率等について」

  • 「休業(補償)給付の請求」休業(補償)給付の請求は、1日単位で請求できると聞きましたが、一般的には、何日ごとに請求すればよいのですか。

    休業(補償)給付を請求する日数について、労災保険法で定めはありません。ただし、休業(補償)給付は、給与を補てんするものです。給与の締切りに合わせて1か月分を請求するのが一般的ではないでしょうか。

  • 障害(補償)給付

    説明

    1. 障害(補償)給付
      業務または通勤による傷病の治療を受け、治癒したときに、一定の障害が残っていた場合に支給されます。
    2. 支給内容
      支給内容は、後遺障害の程度よって区分されています。障害等級第1級~第7級に該当する場合は年金で、給付内容は、障害(補償)年金、障害特別支給金、障害特別年金となります。障害等級第8級から14級に該当する場合は一時金となります。給付内容は、障害(補償)一時金、障害特別支給金、障害特別一時金となります。
  • 「休業特別支給金の申請」休業特別支給金の申請はどのようにすればよいのですか。

    休業(補償)給付支給請求書と休業特別支給金支給申請書は同一用紙ですので、同時請求・申請となります。業務災害の場合は「様式第8号」、通勤災害は「様式第16号の6」で請求してください。

  • 「治癒後の取扱い」仕事中のケガが原因で、片足を切断してしまいました。この度、症状固定で「治癒」と言われ、障害給付の請求をするように言われました。障害給付とは何でしょうか。

    業務または通勤を原因とする傷病の治療を受け、労災保険上の治癒とされたときに、一定の障害が残っていた場合、障害(補償)給付を受けることができます。 また、障害等級によっては、アフターケア・義肢等補装具費等の支給対象となる場合もあります。
    その詳細は、下記の【詳細】をご覧ください。

    詳細はこちら

     厚生労働省HP「労災保険における傷病が「治ったとき」とは・・・」

     厚生労働省HP「障害等級等の認定基準」

     厚生労働省HP「労災年金給付等に係る給付基礎日額のスライド率等について」

     厚生労働省HP「アフターケア・義肢等補装具費支給制度等」

  • 遺族(補償)給付

    説明

    1. 遺族(補償)給付
      労働者の方が、業務または通勤による傷病により死亡したとき、その遺族に支給されます。死亡時に生計を同じくしていた遺族がいる場合は、遺族(補償)年金、遺族特別支給金、遺族特別年金、死亡時に生計を同じくしていた遺族がいない場合は遺族(補償)一時金、遺族特別支給金、遺族特別一時金が支給されます。
    2. 遺族(補償)年金
      死亡時に生計を同じくしていた遺族を受給資格者といい、その最先順位の者が、受給権者となり年金を受給します。遺族(補償)年金の額は、受給資格者となる要件に該当した者の数に応じて給付基礎日額の所定日数分が支給されます。
    3. 遺族(補償)一時金
      死亡時に生計を同じくしていた遺族がいない場合に、給付基礎日額の1000日分が支給されます。
  • 「遺族(補償)給付とは」私の父は、仕事中のケガが原因で死亡しました。母は2年前に病死しています。私は一人息子で50歳ですが、遺族に対する補償があると聞きました。どのような補償があるのでしょうか。

    業務または通勤を原因とする傷病により、労働者の方が死亡した場合で、遺族の方がいらっしゃる場合は、遺族(補償)給付を受けることができます。お父様が死亡されたとき、遺族が50歳の子1人であれば、遺族(補償)一時金が該当するものと思われます。
    その詳細は、下記の【詳細】をご覧ください。

    詳細はこちら

     厚生労働省HP「遺族(補償)給付 葬祭料(葬祭給付)の請求手続」

     厚生労働省HP「労災年金給付等に係る給付基礎日額のスライド率等について」

  • 葬祭料(葬祭給付)

    説明

    労働者の方が、業務または通勤による傷病により死亡し、その葬儀を行った場合、その葬祭を行うにふさわしい方に対し、葬祭料(葬祭給付)が支給されます。その額は、原則として、315,000円に給付基礎日額の30日分を加えた額となります。

    傷病(補償)年金

    説明

    業務または通勤による傷病の治療が、1年6か月を経過した日以後、まだ傷病が治癒しておらず、傷病の状態が傷病年金に該当する場合に支給されます。

     詳細はこちら

      厚生労働省HP「休業(補償)給付 傷病(補償)年金の請求手続」

    介護(補償)給付

    説明

    障害等級・傷病等級が第1級の被災労働者と第2級で「精神神経・胸腹部臓器の障害」を有している被災労働者が現に介護を受けている場合に支給されます。支給額は、常時介護と随時介護により異なります。

     詳細はこちら

      厚生労働省HP「介護(補償)給付の請求手続」

    二次健康診断等給付

    説明

    安全衛生法に基づいて行われる直近の定期健康診断において、血圧検査、血中脂質検査、血糖検査、腹囲の検査又はBMI肥満度の測定の4項目すべてに異常所見がある場合に二次健康診断を受けることができます。
    なお、脳・心臓疾患の症状を有すると診断された者、また労災保険の特別加入者は二次健康診断の対象とはなりません。

     詳細はこちら

      厚生労働省HP「二次健康診断等給付の請求手続」

    石綿の特別遺族給付金

    労働者又は労災の特別加入者であって、石綿にさらされる業務に携わっており、指定疾患等(中皮腫、気管支又は肺の悪性新生物(肺がん)、石綿肺、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水)にかかり死亡した労働者等の遺族であって、時効によって労災保険法に基づく遺族補償給付の支給を受ける権利が消滅した方に限られます。時効は、死亡日の翌日から5年です。

     詳細はこちら

      厚生労働省HP「アスベスト(石綿)情報」

      厚生労働省HP「石綿健康被害救済制度、労災補償制度のご案内(その病気、その症状は石綿が原因かもしれません)」

      厚生労働省HP「「特別遺族給付金」に関する大切なお知らせです」

    労災保険と関係する他の社会保険との調整

    労災保険の給付は、その性格、内容から、他のいろいろな制度と関連し、重複する場合があります。そこで、他の制度との間で給付について調整を必要とすることが少なくありません。
    損失の補填という面では、民法や自動車損害賠償保障法による損害賠償と調整し、業務災害に関する保障責任との関連では、労働基準法による災害補償との関係を処理し、所得保障という面では、厚生年金保険との関係を調整する必要があります。

    第三者行為災害

    労災保険の給付の原因が、事業主と被災者以外の第三者にある場合で、先に政府が労災給付を行った場合は、政府は被災者に行った給付の範囲内で、被災労働者が有する損害賠償請求権を取得します。それにより政府は、第三者に対して損害賠償を請求します。また、逆に第三者から先に損害賠償を受けている場合は、政府は労災給付額からその分を差し引きます。このような手続きをするのは、同じ一つの災害による給付について、重複して損害のてん補を受けることを禁止することと、第三者の損害賠償責任を明確にすることにあります。

  • 「仕事中の交通事故」仕事中に社用車を運転中に交通事故にあってしまいました。治療費その他は自賠責保険に先に請求するのですか。それとも労災保険を先にするのですか。

    決められた方法はありません。ただし、自賠責保険には限度額120万円があり、労災の給付対象となっていない慰謝料が含まれますので、自賠責保険を先に請求し、限度額を超えた時点で労災請求することもできます。
    業務中の自動車事故により業務災害又は通勤災害を被った場合は、労災保険に対して保険給付を請求することができるほか、自賠責保険等に対しても損害賠償の請求をすることができますが、これをどのように行使するかは、あくまでも被災労働者の意思によることになります。
    自賠責保険等の場合、損害賠償額の支払が事実上速やかに行われること、また、自賠責保険等の損害の査定内容には、労災保険では支払われないものが含まれているなどを考えると、被災労働者にとっては、自賠責保険等の支払を先に受け、自賠責保険の支払限度額に達した後に、労災保険に請求することも可能です。
    自賠責保険等においては、傷害の場合の損害賠償額(又は保険額)の限度は120万円ですから、療養費、療養中の逸失利益(休業損害)及び慰謝料の合計額が120万円を超えたとしても120万円しか支給されません。しかし、120万円でカバーできなかった治療費等は労災保険に請求できますし、また加害者に対しても、民法上の損害賠償請求を行うことができます。

    詳細はこちら

     厚生労働省HP「第三者行為災害のしおり」

  • 「出向先での負傷」当社の従業員が、系列子会社の研究機関へ研究員として出向しましたが、出向先でケガをしました。この場合の保険給付の手続きはどちらが行うのですか。

    労災保険の適用については、出向の目的、出向契約、出向先事業での出向労働者の実態などを総合的に判断して、決定されることになっています。
    原則的には、給与が出向元から支払われていても、出向先事業の組織に組み入れられ、出向労働者の指揮命令権が出向先にあれば出向先の労災保険が適用になります。
    したがって、保険給付の手続は、原則として出向先で行います。

  • 「下請け企業の労災事故」当社が元請として労働保険の手続きをしていた建設現場で、下請け会社で事故が発生しました。労災の請求手続きは元請がするのでしょうか。

    労働者が業務上災害にあった場合は、労災保険の各種給付の請求は、基本的には被災労働者本人が行うことになります。ただし、各種請求手続において、被災労働者の求めに応じて、事業主が災害の発生日時や場所、発生状況などについて証明することになります。
    一般に建設業では、一つの工事を一つの事業として労災保険の適用の対象としており、建設業における数次の請負による事業の場合には、原則として元請負人が事業主となり、元請負人が自社で労働者を使用して行う工事の部分だけでなく、下請に請負わせた工事の部分を含めて、一括して保険に加入することになります。
    したがって、元請負人である貴社が事業主として、労災保険の各種給付にかかる証明を行うことになります。

  • 「労災保険指定医療機関になるためには」当院が労災保険指定医療機関になるためにはどのような手続きが必要ですか。

    労災指定医療機関としての指定を受けるためには、「労災保険指定医療機関指定申請書」に、病院や診療所を開設する際の開設許可証の写、施設等に関する概要書を添付し、病院または診療所の所在地を管轄する労働基準監督署長を経由して所轄都道府県労働局長に申請することとなります。詳細は管轄の都道府県労働局または労働基準監督署にお問い合わせください。

    詳細はこちら

     厚生労働省HP「都道府県労働局所在地一覧」

     厚生労働省HP「全国労働基準監督署の所在地案内」