労災保険に関する情報の提供を行うとともに、各種支援を行っております。

労災保険の目的と制度のあらまし(適用のしくみ(5))

(5)保険料

 労災保険料は、労働保険料として雇用保険の保険料と合わせて一元的に徴収することとなっています。

 具体的な額は、労災保険及び雇用保険の両保険の保険関係が成立している事業にあっては、その事業に使用するすべての労働者に支払う賃金総額に労災保険率と雇用保険率を加えた率を乗じて得た額であり、労災保険又は雇用保険に係る保険関係のいずれか一方のみが成立している事業にあっては、賃金総額に労災保険率又は雇用保険率を乗じて得た額となります。

 賃金総額とは、原則として、事業主がその事業場に使用される労働者に対して賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わずその労働の対償として支払ったすべてのものをいいます。

 ただし、数次の請負による事業などには、この原則による賃金総額を正確に算定することが困難なものがあるため、賃金総額の算定についての特例が定められています。

1.労災保険率

 労災保険率は、事業の種類ごとに、過去の災害率などを考慮して定められており、53業種について最高1000分の88から最低1000分の2.5となっています。

 この率には、非業務災害率(通勤災害及び二次健康診断等給付に係る率)も含まれており、その率は、全国・全業種を通じて一律に1000分の0.6とされています。

2.メリット制

 労災保険率は、既に述べたように、事業の種類ごとに定められていますが、さらに、一定規模以上の事業については、個々の事業ごとにその事業の収支率に応じて、一定の範囲内で労災保険率又は保険料額を上下させ、事業主の労働災害防止努力を促進しようとする制度が設けられています。これが、いわゆる* メリット制です。

(1)継続事業のメリット制

ア.メリット制適用事業

 メリット制の適用を受ける事業は、メリット制によって労災保険率が増減される年度の前々年度の3月31日(以下「基準日」といいます)現在で、労災保険の保険関係の成立後3年以上を経過している事業であって、基準日以前3連続保険年度の各保険年度において次の要件を満たしているものです。

(a) 常時100人以上の労働者を使用する事業
(b) 常時20人以上100人未満の労働者を使用する事業であって、その労働者数に、事業の種類ごとに定められている労災保険率から非業務災害率を減じた率を乗じて得た数が0.4以上であるもの
(c) 有期事業の一括を行った建設の事業及び立木の伐採の事業では、各年度の確定保険料の額が40万円以上であるもの

イ.メリット収支率

 メリット制を適用して、その事業についての労災保険率を上げ下げする基準となる収支率(継続事業におけるメリット収支率)は、下記の算式によって計算されます。

ウ.メリット労災保険率

 メリット制適用事業の基準日以前3年間のメリット収支率が85%を超え、又は75%以下である場合には、事業の種類ごとに定められている労災保険率から非業務災害率を減じた率を、40%〈一括有期事業で年間の確定保険料が40万円以上100万円未満の場合は30%〉の範囲内で上下させて、それに非業務災害率を加えた率(メリット労災保険率)が、その事業についての基準日の属する年度の翌々年度の労災保険率となります。

 

(2)有期事業のメリット制

 メリット制の適用がある有期事業は、建設の事業であって、確定保険料の額が40万円以上又は請負金額が1億2000万円以上のもの、立木の伐採の事業であって、確定保険料の額が40万円以上又は素材の生産量が1000立方メートル以上のものです。

ア.メリット収支率

 メリット制を適用して、その事業についての確定保険料のうち業務災害に関する保険料の額を引き上げ、又は引き下げる基準となる収支率(有期事業におけるメリット収支率)は、事業が終了した日から3か月又は9か月を経過した日前の業務災害に係る* 保険給付及び特別支給金の総額(特定疾病に係る保険給付等を除き、また一部の保険給付及び特別支給金の額の算入方法については、継続事業の場合と同様です)と、その事業についての確定保険料のうち業務災害に係る部分の額に* 調整率を乗じて得た額との割合となります。

イ.メリット保険料額

 (1)事業が終了した日から3か月を経過した日におけるメリット収支率が85%を超え、又は75%以下であり、かつ、その日以後において一定限度以上変動しないと認められるときに、(2)(1)のような状態にないときは事業が終了した日から9か月を経過した日において、メリット収支率が85%を超え、又は75%以下であるときに、その事業の確定保険料のうち業務災害に係る額の当該収支率に応じた40%(立木伐採事業は35%)の範囲内の額だけ、確定保険料の額を引き上げ又は引き下げます。
  この上げ下げした結果の保険料の額は、事業主に通知されて、既に納付されている保険料との差額が還付若しくは充当され、又は追加徴収されることになります。

〔有期事業のメリット制概略図〕

(3)メリット制の特例

 中小企業事業主(建設の事業及び立木の伐採の事業以外の事業で、使用する労働者数が常時300人(金融業、保険業、不動産業又は小売業においては50人、卸売業又はサービス業については100人)以下である事業の事業主)が、次のような労働者の安全又は衛生を確保するための措置を講じた場合で、その措置を講じた年度の次の年度の4月1日から9月30日までの間に「労災保険率特例適用申告書」を提出しているとき、措置を講じた年度の翌々年度から3 年度間、メリット制が適用となる年度に限り、メリット制による労災保険率の増減幅を最大40%から45%に拡大する特例が設けられています。

(a) 都道府県労働局長の認定を受けた快適職場推進計画に基づく、快適な職場環境の形成のために事業主が講ずる措置(「快適職場推進計画による措置」)
(b) 機械設置等の計画届の免除の認定を受けた事業主が講ずる措置(「労働安全衛生マネジメントシステムの実施」)

 特例メリット制の適用の申告にあたっては、上記のいずれかの安全衛生措置を講じたことなどについて、都道府県労働局長の確認を受けることが必要です。